ノーブリーへお帰りになって、もう一度その窓を調べていただきたいんです。そしてもし確かに誰か中に住んでいるらしいことがお分かりになったら、あなた御自身で中へ這入っていくようなことはなさらないで、私の友人と私に電報を打って下さい。そうすれば私達は一時間以内にはそこへいって、大いそぎで事件を徹底的に解決してしまうことが出来るでしょう」
「もしまだ空家のままでしたら?」
「その時については、明日《みょうにち》、またあなたとよく相談しましょう。――じアさよなら。特に確実に根拠をつかんでしまうまでは充分慎重にやって下さい」
 そうして私の仲間は、グラント・マンロー氏をドアまで見送って帰って来ると、
「ワトソン君、こいつはちと厄介な事件らしいね。どうしたらいいだろう?」
 と云うのだった。
「悪い奴が一人いるね」
 私は答えた。
「そうだ。――脅喝《きょうかつ》している奴がいる。いないとなると僕の非常な思い違いになるんだが……」
「とすると脅喝《きょうかつ》している奴は何者だろう」
「無論、その離れ家の例の気持ちよく飾った寝室だけに住んでる、あの男の妻の肖像を暖炉棚の上に飾っとく男さ。――僕に云わせ
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