隔たりが出来たんです。私は彼女の生活に何物かのあることに気がついたんです。そしてまた彼女の心に関しては、街で行き違う見ず知らずの女の心と同じように、何も私は知っていなかったんです。――私たちは全く赤の他人になってしまいました。私はその原因が知りたいんです。――そう、そう、その前にあなたにぜひ記憶しておいていただきたいことがあります、ホームズさん。――エフィは私を愛しております。この点については絶対に間違いはありません。彼女は彼女の全身を捧げて私を愛しております。しかも今ほど愛していたことはないでしょう。私はそれを知りました。私はそれを感じます。――私はその点については議論をしたくありません。男と云うものは女が自分を愛してくれている時には、容易にそれを話すことが出来るものです。――しかし私たちの間には秘密があるんです。私にはそれを拭《ぬぐ》わずにほうっておくことは出来ません」
「どうもまだはっきりしないんですが、マンローさん」
 と、ホームズは少しイライラして云った。
「エフィの前身について申上げましょう。私が初めてエフィに会った時、彼女は未亡人だったんです。廿五《にじゅうご》になったば
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