暗号舞踏人の謎
コナン・ドイル
三上於莵吉訳

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)鳥冠《とさか》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)七|哩《まいる》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「口+愛」、第3水準1−15−23]
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 ホームズは全く黙りこんだまま、その脊の高い痩せた身体を猫脊にして、何時間も化学実験室に向っていた。そこからは頻りに、いやな悪臭がただよって来る、――彼の頭は胸に深くちぢこめられて、その恰好は、鈍い灰色の羽毛の、黒い鳥冠《とさか》の奇妙な鳥のようにも見えた。
「そこで、ワトソン君、――」
 彼は突然に口を開いた。
「君は南アフリカのある投資事業に、投資することは、思い止まってしまったのだね」
 私はサッと驚かされてしまった。私は彼の不思議な直覚力と云ったようなものには、毎度のことでよく慣れていたが、しかしこの私の胸中の、秘中の秘事にずばりっと図星を指されたのには、全くあきれ返ってしまった。
「一たい君は、
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