夜妻が、私が悪漢をつかまえるために、飛び出るのを引き止めたことについて怒りました。そうすると妻は、私が怪我をしてはいけないと思ったからと云いわけするのでした。しばしの間は私に、妻はその者の何者であるかを知っていて、またその変な相図もわかっていて、彼の女の案じているのは、私ではなく、向うの者の怪我であると云うことが、閃きましたが、しかしまたよく考え直してみると、ホームズさん、彼の女の声の調子にも、また目の色にも、この疑念をかき消させるものがありました。それで私はやはり、彼の女が本当に心配したのは、私自身の身であったのだと考えるのです。これでもう話は終りました、が、さてどうすればよろしいのか、これに対する方法を教えていただきたいのですが。――まあ私の考えとしては、百姓の若者共を五六人も待ち伏せさせておいて、その者が出て来た時に、したたか打ちのめして、以後私共に近寄れないようにしようかとも思っていますが、――」
「いや、そんな簡単なことで、収《おさま》りのつくことではないでしょう」
 ホームズは云った。
「一たいあなたはどのくらい、ロンドンに滞在することが出来ますか?」
「私は今日中には、帰
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