ると、彼は以前から出ようとしていた所の留置場を蹴破って、デッキをかけ抜けて後部の方にある監禁室に飛び込んだ。やがて大勢の囚人達が手に手にピストルを持って、彼をさがしながらだんだんおりて行くと、彼は手にマッチ箱を持って、口を開けた火薬箱の側にどっかり腰をかけていた。その火薬箱は船に積み込んだ百箇の中の一つで、彼は、もし彼が殺されそうになったらその中へ火を投げ込むぞと云っていた。そのすぐ後一分も立たないでその事件が持ち上った。ハドソンの想像で行くとそれは、その助手がマッチをほうり込んだのではなくて、四人の誰かが誤ってピストルを打ったためらしかった。がその原因はいずれであるにせよ、それがグロリア・スコットの最後であり、そして暴徒達の最後でもあった。
私の可愛いい子供よ。要するに私がまき込まれた所の恐ろしい事件と云うのはこんなわけなのだ。――私達はその翌日、ホトスパー号に救助された。その船はオーストラリヤにむけて航海中のもので、船長は私達が難船した旅客船の残存者であると云う言葉を難なく信じてくれた。運送船グロリア・スコット号は航海中、失われたと海軍省より発表され、その本当の運命については、何事
前へ
次へ
全47ページ中43ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ドイル アーサー・コナン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング