分の友だちのことも考える。君はそう云うことの出来る人間だろう。君は彼の運命を握っているんだ。そうして彼は、君をここから引っぱり出すと云うことを、神様に誓っているんだ」
これが彼の話し振りだった。始めのうち私は、それを無意味なものだと思っていた。がしかし、しばらくたって彼が私をためしてみ、そうして出来るだけ厳粛に私に誓ったとき、私はこの船の支配権を得ようとしている企《くわだて》のあることを知らされた。十二人の罪人達は彼等が船に乗り込む前に、ひそかにそれを企ていたのであった。プレンダーガストはその発起人であった。そして彼のお金が、それを引き起こした原動力なのだった。
「俺は一人の仲間を持っているんだ」
と彼は云った。
「その男は珍らしい真面目な男で、充分まいてあるゼンマイのように正確な男なんだ。その男が謀《はかりごと》をめぐらしているんだが、君はこの瞬間、その男がどこにいると思うかね?――その男と云うのは、外《ほか》でもない、この船の牧師さ。――牧師、その人なんだよ。奴は黒い僧服をまとって、堂々とこの船に乗りこんだ。奴はポケットの中に、この船の大帆柱から竜骨まで、すべて何から何まで買い占
前へ
次へ
全47ページ中33ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ドイル アーサー・コナン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング