脂《やに》のくっついた衣服を着て、焙《あぶ》られるような思いをしながら坐っていて、自分の周りには血がたくさん流れているし、あたり中に死体がごろごろ横っているので、それを見ていると、この場所がつくづく厭になり、その厭だという気持はほとんどここが恐しいというくらいに強いものだった。
私が丸太小屋を洗い落したり、それから食後の食器を洗って始末している間中、この厭だという気持と羨ましいという気持はますます強くなる一方で、とうとうしまいには、自分がパン嚢のそばにいて、その時だれも私を見ていないのを幸いに、逃げ出す用意の手始めに、上衣の両方のポケットに堅《かた》パンを一杯詰め込んだ。
私は馬鹿だった、と言われても仕方がない。確かに私は馬鹿な大胆過ぎることをやろうとしていたのだ。しかし、自分の出来るだけの用心をしてそれをやる決心だった。それだけの堅パンがあれば、どんなことが起ったにしても、少くとも、次の日のよほど遅くまではひもじい思いをすることはなかったろう。
次に私が身につけたものは一対のピストルであった。そして角《つの》製火薬筒と弾丸とはすでに持っていたので、武器はこれで十分だと思った。
前へ
次へ
全412ページ中240ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
スティーブンソン ロバート・ルイス の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング