ヴジー先生は気でも違ったんかい?」
「なあに、そんなことはないさ。」と私が言った。「気が違うということになれぁ、この僕たちの中では先生が一番おしまいだよ。僕はそう思うさ。」
「じゃあ、兄弟《きょうでえ》」とグレーが言った。「先生は気が違っていねえんかも知れねえ。だが、あの人[#「あの人」に傍点]の方が気が変になっているのでねえとするとだ、いいかい、このわっし[#「わっし」に傍点]の方が変なのだな。」
「僕はこう思うよ、」と私が答えた。「先生には何か思いつきがあるんだとね。そしてもし僕の思う通りなら、先生は今ベン・ガンに会いにいらしったんだよ。」
 後で明白になったことだが、私の思った通りだった。しかし、とかくするうちに、小屋の中は息苦しいまでに暑く、防柵の内側の狭い砂地は真昼の太陽に照りつけられて燃え立っようだったので、私の頭にはまた一つの考えが浮び始めた。それは決してさほど正しい考えではなかった。私に思い浮び始めたというのは、先生を羨むことなのであった。先生は森のひいやりとする樹蔭を歩きながら、周りに鳥の啼くのを聞いたり、松の樹の心地よい香を嗅いだりしているのに、私は、暑さで融けた樹
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