に走ったことのないほどひた走りに走った。そして走っている間に、恐怖はいよいよ募って来て、しまいには狂気じみたものになった。
実際、だれでも私より以上に助かる見込のなくなった者はあるだろうか? 合図の砲の鳴る時が来ても、どうして私は、人殺しの罪悪を犯したばかりのあの悪鬼どもにまじって、ボートのところまで下りて行かれようか? 私を真先に見つけた奴が鴫《しぎ》の首でもひねるように私をひねり殺しはしないだろうか? 私が姿を見せないそのことが彼等には私が彼等を恐れていることの、従って私が彼等のやったことを知っていることの証拠と思われはしないだろうか? もうどうしたって駄目だ、と私は思った。さようなら、ヒスパニオーラ号よ。さようなら、大地主さんや、先生や、船長さん! 私には、餓死するか、謀叛人どもの手にかかって殺されるかの他には、何も残されてはいなかった。
この間もずっと、前に言ったように、私はなおも走り続けていて、少しも気がつかずに、あの二つの峯のある小山の麓に近づいて、島の中でも、鮮色樫がもっと疎《まばら》に生えていて、恰好《かっこう》も大きさももっと森林樹らしく見える部分へ入り込んでいた
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