。その樹々にまじって、或るものは五十フィート、或るものは七十フィート近くの高さのある、数本の松の樹がちらほら生えていた。空気もまた、下の沼のほとりよりは爽かな香がした。
そしてここでまた、新たな驚きが、私に、胸をどきんとしながら立往生させたのであった。
第十五章 島 の 男
山はこのあたりでは嶮《けわ》しくて石だらけだったが、その山腹から礫《こいし》がばらばらと離れて、樹の間をがらがらと音を立てて跳びながら落ちて来た。私の眼が本能的にその方向へ向くと、一つの姿が非常な速さで一本の松の樹の幹の後へ跳び込んだのが見えた。それが何であったか、熊か、人間か、猿か、私にはまるでわからなかった。どす黒くて、毛でむしゃむしゃしているようだった。それ以上はわからなかった。しかしこの新しい怪物の出現は私を立ち止らせた。
私は今や両側とも断たれたようなものであった。背後にはあの人殺しどもがいる。前にはこの得体《えたい》の知れぬものが潜《ひそ》んでいる。そこで直ちに私は自分の知らぬ危険よりはむしろ自分の知っている危険の方を取ることにした。シルヴァーだってこの森の怪物に比べればそれほど恐し
前へ
次へ
全412ページ中162ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
スティーブンソン ロバート・ルイス の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング