うになっていて、樹木はちょうど高潮線(註五四)のところまでも生い茂り、海岸は大抵平坦で、山々の頂は、ここに一つ、彼処に一つと、円形劇場のようになって遠くにぐるりと立っていた。二つの小川が、というよりもむしろ二つの沼が、この池と言ってもいいところへ注いでいて、海岸のその部分のあたりにある簇葉《むらば》は一種の毒々しい輝きを持っていた。船からは、小屋や柵壁はちっとも見えなかった。それらは樹木の間にすっかり埋っていたからだ。それで、もし船室昇降口室《コムパニヨン》にあの海図がなかったなら、私たちは、その島が海中から生じてから此方《このかた》そこにかつて碇泊した最初の者であると思ったかも知れなかった。
 そよとの風もなかったし、また、半マイルも彼方に、外洋の磯に打ち寄せ岩石に激して、どどうっと響いている寄波の他《ほか》には、何の物音もしなかった。その碇泊所一面には一種特別の澱んだ臭いが漂うていた、――水に浸った木の葉や腐った木の幹の臭いが。私は、医師が、悪い卵を口にした人のように、頻りに鼻でくんくん嗅いでいるのを認めた。
「実のことは知らないが、しかしここに熱病があることは私はこの仮髪《かつら
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