もし私の主人でしたなら、なぜ鼠のような叫び声なぞを立てて、逃げて行ったのでしょう? 私はあの方にずいぶん永らく御奉公しております。それに……」とその男はここで言葉を切って、片手で顔をこすった。
「これは何もかも非常に妙なことばかりだ、」とアッタスン氏が言った。「しかしどうやら僕にはわかりかけたような気がする。おまえの御主人はな、プール、きっと、病人を非常に苦しめて、顔かたちも変えるというあの病気の一種に罹られたのだ。そのために、多分、声が変っているのだろうと思う。そのために覆面をしたり友人を避けたりしているのだろう。そのためにその薬をしきりに探して、その薬で、可哀そうに、あの男はどうにか回復しようという望みを持っているのだろう、――どうかその望みがかなえばいいが! これが僕の解釈だ。ずいぶん痛ましいことだがなあ、――プール、考えてもぞっとするようなことだ。しかしこう考えればはっきりわかって自然だし、ちゃんと辻褄が合って、いろんな途方もない恐れを抱くこともいらなくなるよ。」
「旦那さま、」と召使頭は顔色を斑な紫色に変えながら言った、「あの者は私の主人ではございませんでした。ほんとでござ
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