《おほき》な像《ざう》で、飯《めし》の時《とき》なんぞ、並《なら》んで坐《すは》る、と七才《なゝつ》の年《とし》の私《わたくし》の芥子坊主《けしばうず》より、づゝと上《うへ》に、髪《かみ》の垂《さが》つた島田《しまだ》の髷《まげ》が見《み》えたんです。衣服《きもの》は白無垢《しろむく》に、水浅黄《みづあさぎ》の襟《ゑり》を重《かさ》ねて、袖口《そでくち》と褄《つま》はづれは、矢張《やつぱり》白《しろ》に常夏《とこなつ》の花《はな》を散《ち》らした長襦袢《ながじゆばん》らしく出来《でき》て居《ゐ》て……其《それ》が上《うへ》から着《き》せたのではない。木彫《きぼり》に彩色《さいしき》を為《し》たんです。が、不思議《ふしぎ》なのは、其《そ》の白無垢《しろむく》、何《ど》うして置《お》いても些《ちつ》とでも塵埃《ほこり》が溜《たま》らず、虫《むし》も蠅《はい》も、遂《つい》ぞ集《たか》つたことが無《な》い。花畑《はなばたけ》へでも抱《だ》いて出《で》ると、綺麗《きれい》な蝶々《てふ/\》は、帯《おび》に来《き》て、留《とま》つたんです、最《も》う一《ひと》つ不思議《ふしぎ》なのは、立像《りつ
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