無《な》くつて、何《ど》うして、彼《あ》の五位鷺《ごゐさぎ》が刻《きざ》めます。あの船《ふね》が動《うご》かせます。而《そ》して、其《そ》の秘密《ひみつ》を人《ひと》に知《し》らせまいために、天《てん》の火《ひ》で焚《や》くと見《み》せて、船《ふね》をお秘《かく》しなさるんでせう。」
「お前様《めえさま》もの、祖父殿《おんぢいどん》の真似《まね》をするだ、で、私《わし》が自由《じいう》には成《な》んねえだ。間違《まちが》へて先生《せんせい》だ、師匠《ししやう》だ言《い》はつしやるなら、祖父殿《おんぢいどん》を然《さ》う呼《よ》ばらつせえ。」
「同《おな》じ事《こと》です、大名《だいみやう》の子孫《しそん》が華族《くわぞく》なら、名家《めいか》の御子孫《ごしそん》も先生《せんせい》です。特《とく》に私《わたくし》は然《さ》う申《まを》さなければ成《な》りません。
私《わたくし》が今《いま》の此《こ》の仕事《しごと》を為《す》るやうに成《な》りましたのは、貴下《あなた》か、或《あるひ》は其《そ》の祖父様《ぢいさま》の御薫陶《ごくんたう》に預《あづか》つたと言《い》つて宜《よろ》しい。」…
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