》るやうな冷汗《ひやあせ》になる気味《きみ》の悪《わる》さ、足《あし》が窘《すく》んだといふて立《た》つて居《ゐ》られる数《すう》ではないから、びく/\しながら路《みち》を急《いそ》ぐと又《また》しても居《ゐ》たよ。
然《しか》も今度《こんど》のは半分《はんぶん》に引切《ひきき》つてある胴《どう》から尾《を》ばかりの虫《むし》ぢや、切口《きりくち》が蒼《あをみ》を帯《お》びて其《それ》で恁《か》う黄色《きいろ》な汁《しる》が流《なが》れてぴくぴくと動《うご》いたわ。
我《われ》を忘《わす》れてばら/\とあとへ遁帰《にげかへ》つたが、気《き》が着《つ》けば例《れい》のが未《ま》だ居《ゐ》るであらう、譬《たと》ひ殺《ころ》されるまでも二|度《ど》とは彼《あれ》を跨《また》ぐ気《き》はせぬ。あゝ前刻《さツき》のお百姓《ひやくしやう》がものゝ間違《まちがひ》でも故道《ふるみち》には蛇《へび》が恁《か》うといつてくれたら、地獄《ぢごく》へ落《お》ちても来《こ》なかつたにと照《て》りつけられて、涙《なみだ》が流《なが》れた、南無阿弥陀仏《なむあみだぶつ》、今《いま》でも悚然《ぞツ》とする。」と
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