て此《こ》の水上《みなかみ》は、昨日《きのふ》孤家《ひとつや》の婦人《をんな》と水《みづ》を浴《あ》びた処《ところ》と思《おも》ふと、気《き》の精《せい》か其《そ》の女瀧《めだき》の中《なか》に絵《ゑ》のやうな彼《か》の婦人《をんな》の姿《すがた》が歴々《あり/\》、と浮《う》いて出《で》ると巻込《まきこ》まれて、沈《しづ》んだと思《おも》ふと又《また》浮《う》いて、千筋《ちすぢ》に乱《みだ》るゝ水《みづ》とゝもに其《そ》の膚《はだへ》が粉《こ》に砕《くだ》けて、花片《はなびら》が散込《ちりこ》むやうな。あなやと思《おも》ふと更《さら》に、もとの顔《かほ》も、胸《むね》も、乳《ちゝ》も、手足《てあし》も全《まツた》き姿《すがた》となつて、浮《う》いつ沈《しづ》みつ、ぱツと刻《きざ》まれ、あツと見《み》る間《ま》に又《また》あらはれる。私《わし》は耐《たま》らず真逆《まツさかさま》に瀧《たき》の中《なか》へ飛込《とびこ》んで、女瀧《めたき》を確《しか》と抱《だ》いたとまで思《おも》つた。気《き》がつくと男瀧《をたき》の方《はう》はどう/\と地響《ぢひゞき》打《う》たせて、山彦《やまびこ》
前へ
次へ
全147ページ中124ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
泉 鏡太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング