を呼《よ》んで轟《とゞろ》いて流《なが》れて居《ゐ》る、あゝ其《そ》の力《ちから》を以《もつ》て何故《なぜ》救《すく》はぬ、儘《まゝ》よ!
瀧《たき》に身《み》を投《な》げて死《し》なうより、旧《もと》の孤家《ひとつや》へ引返《ひツかへ》せ。汚《けがら》はしい慾《よく》のあればこそ恁《か》うなつた上《うへ》に※[#「足へん+厨」、第3水準1−92−39]躇《ちゆうちよ》をするわ、其《その》顔《かほ》を見《み》て声《こゑ》を聞《き》けば、渠等《かれら》夫婦《ふうふ》が同衾《ひとつね》するのに枕《まくら》を並《なら》べて差支《さしつか》へぬ、それでも汗《あせ》になつて修行《しゆぎやう》をして、坊主《ばうず》で果《は》てるよりは余程《よほど》の増《まし》ぢやと、思切《おもひき》つて戻《もど》らうとして、石《いし》を放《はな》れて身《み》を起《おこ》した、背後《うしろ》から一ツ背中《せなか》を叩《たゝ》いて、
(やあ、御坊様《ごばうさま》、)といはれたから、時《とき》が時《とき》なり、心《こゝろ》も心《こゝろ》、後暗《うしろぐら》いので喫驚《びつくり》して見《み》ると、閻王《えんわう》の使《
前へ
次へ
全147ページ中125ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
泉 鏡太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング