《わにざめ》が口《くち》をあいたやうな尖《さき》のとがつた黒《くろ》い大巌《おほいは》が突出《つきで》て居《ゐ》ると、上《うへ》から流《なが》れて来《く》る颯《さツ》と瀬《せ》の早《はや》い谷川《たにがは》が、之《これ》に当《あた》つて両《ふたつ》に岐《わか》れて、凡《およ》そ四|丈《ぢやう》ばかりの瀧《たき》になつて哄《どツ》と落《お》ちて、又《また》暗碧《あんぺき》に白布《しろぬの》を織《お》つて矢《や》を射《ゐ》るやうに里《さと》へ出《で》るのぢやが、其《その》巌《いは》にせかれた方《はう》は六|尺《しやく》ばかり、之《これ》は川《かは》の一|巾《はゞ》を裂《さ》いて糸《いと》も乱《みだ》れず、一|方《ぱう》は巾《はゞ》が狭《せま》い、三|尺《じやく》位《ぐらゐ》、この下《した》には雑多《ざツた》な岩《いは》が並《なら》ぶと見《み》えて、ちら/\ちら/\と玉《たま》の簾《すだれ》を百千《ひやくせん》に砕《くだ》いたやう、件《くだん》の鰐鮫《わにざめ》の巌《いは》に、すれつ、縺《もつ》れつ。」
第二十五
「唯《たゞ》一|筋《すぢ》でも岩《いは》を越《こ》して男
前へ
次へ
全147ページ中122ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
泉 鏡太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング