人《ふたり》して、其時《そのとき》の婦人《をんな》が裸体《はだか》になつて、私《わし》が背中《せなか》へ呼吸《いき》が通《かよ》つて、微妙《びめう》な薫《かほり》の花《はな》びらに暖《あたゝか》に包《つゝ》まれたら、其《その》まゝ命《いのち》が失《う》せても可《い》い!
 瀧《たき》の水《みづ》を見《み》るにつけても耐《た》へ難《がた》いのは其事《そのこと》であつた、いや、冷汗《ひやあせ》が流《なが》れますて。
 其上《そのうへ》、もう気《き》がたるみ、筋《すぢ》が弛《ゆる》んで、早《は》や歩行《ある》くのに飽《あき》が来《き》て喜《よろこ》ばねばならぬ人家《じんか》が近《ちかづ》いたのも、高《たか》がよくされて口《くち》の臭《くさ》い婆《ばあ》さんに渋茶《しぶちや》を振舞《ふるま》はれるのが関《せき》の山《やま》と、里《さと》へ入《い》るのも厭《いや》になつたから、石《いし》の上《うへ》へ膝《ひざ》を懸《か》けた、丁度《ちやうど》目《め》の下《した》にある瀧《たき》ぢやつた、これがさ、後《あと》に聞《き》くと女夫瀧《めうとたき》と言《い》ふさうで。
 真中《まんなか》に先《ま》づ鰐鮫
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