》らかな涼《すゞ》しい声《こゑ》といふ者《もの》は、到底《たうてい》此《こ》の少年《せうねん》の咽喉《のど》から出《で》たのではない。先《ま》づ前《さき》の世《よ》の此《この》白痴《ばか》の身《み》が、冥途《めいど》から管《くだ》で其《そ》のふくれた腹《はら》へ通《かよ》はして寄越《よこ》すほどに聞《きこ》えましたよ。
私《わし》は畏《かしこま》つて聞《き》き果《は》てると膝《ひざ》に手《て》をついたツ切《きり》何《ど》うしても顔《かほ》を上《あ》げて其処《そこ》な男女《ふたり》を見《み》ることが出来《でき》ぬ、何《なに》か胸《むね》がキヤキヤして、はら/\と落涙《らくるゐ》した。
婦人《をんな》は目早《めばや》く見《み》つけたさうで、
(おや、貴僧《あなた》、何《ど》うかなさいましたか。)
急《きふ》にものもいはれなんだが漸々《やう/\》、
(唯《はい》、何《なあに》、変《かは》つたことでもござりませぬ、私《わし》も嬢様《ぢやうさま》のことは別《べつ》にお尋《たづ》ね申《まを》しませんから、貴女《あなた》も何《なん》にも問《と》ふては下《くだ》さりますな。)
と仔細《しさい》は
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