て、女子自身の実力に応じた選択に任せたなら、そうして今日の女子を奮起させる必要上、特に職業上の自由競争を奨励するなら、山川菊栄女史のいわれたように、日本の婦人界も一人や二人の婦人理学士を珍重がるようなみすぼらしい状態には停滞していないでしょう。
リップスが「人は出たらめに婦人の能力を否定せずに、確実なる経験にこれを決定させる必要がある。そのためには、女性にその力を試《た》めし、その力を発展すべき機会と権利とを与えなければならない。これを開展させずに萎縮《いしゅく》させて置く限り、女性に如何なる力が潜んでいるか、何人《なんぴと》も知ることが出来ない。……同時に人はこの問題について、単に女性という一般概念を以て議論を進めることを避けねばならない。女性もまたいろいろである、一人の女性の天性に適しないことで、他の女性の天性に適することもまた有り得るのである」といった真理に、日本の男子も女子も深い反省を取られることを私は熱望します。
以上は甚だ粗雑な説明となりましたが、私はこの五つの条件の上に基礎を置くことに由って、初めて女子の改造が押しも押されもしない堅実性を持つと思います。これらの条件
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