婦人改造の基礎的考察
与謝野晶子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)勢力を振《ふる》っていた
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)今|暫《しばら》く
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)平塚らいてう[#「らいてう」はママ]
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改造ということは最も古くして併せて最も新らしい意味を持っています。人生は歴史以前の悠遠な時代に一たび文化生活の端を開いてこのかた、全く改造に改造を重ねて進転する過程です。男子は巧みにこの過程に乗って、その個性を開展し、幾千年の間に男子本位に傾いた文化生活を築き上げました。とかくこの過程に停滞し落伍する者は女子でした。人生の幼稚な過程に動物的本能がまだ余分に勢力を振《ふる》っていた時代――腕力とそれの延長である武力と、それの変形である権力とが勢力を持っていた時代――では、すべての女性が男性に圧制されて、従属的地位に立たねばならなかったことは、やむをえなかった歴史的事実だともいわれるでしょう。しかしこれがために女子はその人格の発展を非常に鈍らせ、かつ一方に偏せしめてしまいました。
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