互に補充的かつ協働的に文化一般の意義をその窮極において顕彰し云々」といわれたのは、男女、貧富、貴賤、黄色人と白皙《はくせき》人というような差別を超えた所の無階級一律的の要求であると思います。

 この男女平等主義と人類無階級的連帯責任主義との上に立って、私たち女子も男子と等しく教育の自由、参政の自由、職業の自由等、人間の文化生活に必要な限りのすべての自由を要求します。これらの問題については、以前から他の機会でしばしば述べていますから、今は略しますが、唯だ文化主義の学者たちが女子のためにこれらの要求を奨励される一証として次にリップスの言葉を引用して置きたいと思います。
 リップスは教育について言いました。「特に我らは女性に対して高等なる精神的教養を拒むべきでない。それが人間の教育である限り、それは各人の能力に従って男女の差別なくすべての人々に与えられなければならない。精神的能力の優秀な女性は、その能力の低級な男子よりも、この教育を受くべき一層多くの道徳的権利を持っている。人間の精神的能力が開発されなければならないのは、それが男や女に属するからでなくて、それが(即ち精神的能力が)存在するからである。自己の内面から出て開発されることを望んでいる事柄であるからである。」
 また女子の参政権問題について言いました。「婦人の政治的権利を承認するは、両性の差別を無視するものでなくて、いやしくも婦人もまた男子と共に人間であり、人類の一員であることを認める限り、むしろ両性の差別がこの承認を要するのである。……婦人には婦人独特の利害と、欲求とがある。そうして国会においては、あらゆる方面の利害が代表されていることを要求するが故に、其処《そこ》には婦人もまた代表されていなければならない。……人は女性の政治的未熟を力説するかも知れない。なるほどこれは男性の平均程度に比べても一層甚だしいであろう。しかし、それならば人は女性の政治的教育に骨を折るが好いのである。」
 職業の問題に対する女子の要求についてリップスの言ったことは後において引用しようと思います。

 最後に私は「汎労働主義」を以て改造の基礎条件の第五とする者です。これについても私は、最近に公にした種々の感想文においてかなり多く述べていますから、茲《ここ》には只だその補充として少しばかり書いて置きます。
 私は労働階級の家に生れて、初等
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