それで私どもは何よりも智力の優強者とならねばなりません。私どもが男子と対等の位地に進みたいと主張するのも一概に男子と職業を同じくしよう、その実力もないのに男子と政治上や民法上の同権を得ようという意味ではなく、先ず智力において対等の強さを得ようとするのです。これは婦人が物質的から精神的に進み、依頼主義を取って男子の足手まといになっていた者が一人前の独立を遂げようとするので、男子の側から考えて頂いても真の伴侶が出来ることですから当然歓迎さるべき性質のものだと思います。私どもは男子側が私どもの希望を容れて高い智力の教養を許されるなら、決して男子に反抗するような不遜《ふそん》な態度を取ろうとする者ではありません。私どもは今日の場合、智力においても何においても明かに男子の優越を認めて、私ども婦人が遙《はるか》に劣弱な位地にあることを愧《は》じ、敬虔《けいけん》な心から事ごとに男子の教に聞いて、大急ぎで男子と対等な処まで智力の充実を計りたいと思っています。男女の智力の不権衡が人生の調子をどれだけ狂わせているか知れないことに気が附いている聡明な男子、真の聡明な男子ならきっと私どもに対し厚意の
前へ 次へ
全18ページ中11ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
与謝野 晶子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング