人もありましょう」といっておられるのを見受けます。議論としては一貫しませんが、とにかく一方に補佐される独立や、立派な精神上の独立やの存在することは認めておられるのです。
平塚さんと山川さんとは決して独立の否定などはされないのですが、前者は私と方法を異にして「母性の保護こそ女子の経済的独立を完全に実現する唯一の道」であると主張され、後者は平塚さんの母性保護も私のいう意味の経済的独立も、現実の問題としては「共に結構であり、両者は然《しか》く両立すべからざる性質のものでなくて、むしろ双方共に行われた方が現在の社会において婦人の地位を多少|安固《あんこ》にするものだと考える」と穏健な仲裁的意見を述べられると同時に、しかしながら、現在の経済関係という禍の大本に斧鉞《ふえつ》を下そうとしない点においては両者とも「不徹底な弥縫策《びほうさく》」であるといって女史自ら一段高い地歩を占めたと思われるらしい立場から非難されております。
平塚さんに対しては後にいうとして、私は山川さんに申上げて置きます。私は人間の独立に経済的因素が絶対の必要だとは考えず、あくまでも相対的の必要であ
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