の自己を主張せねばなりません。
私は思います。三女史と私とは決して目的においては異っていないのです。女子の解放と完成――それに由って女子が人類のより[#「より」に傍点]高くより[#「より」に傍点]善い協同生活の構成に参加すること――を目的としている点について、全く同一の方向を取っているのであると信じますが、その出発点と、歩度と、歩む道程とが互に異っているのです。中にも殆ど同じ道程を取っていながら、出発点と歩度とが異っているに過ぎないのでないかと思われるのは山川さんと私との距離だと思います。既に方向を同じくしている以上、三女史も私も互に敵視すべき間柄でなく、私たちは当《まさ》に力《つと》めて、その共通の目的の上に親み合わねばなりません。たとい歩趨《ほすう》の間隔において争うことがあっても、それは同一の目的に早く近づこうとするための競駆であって、互に長短を交換補償する利益こそあれ、恨を遺し疵《きず》を留《とど》むる力争的の行為でないことを、予め茲《ここ》に断って置きます。私たちは因習に拠る頑強な外敵を控えているのです。それに対して常に一致して当る所の用意を持っておらねばなりません。
私
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