服は四五尺も裾を引くのが多かつた。白い孔雀が鳥の王のやうな誇りを持つて居るのと、其の人の外へ現れた自尊心に共通なものがあつたのである。
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我が筆もミケランゼロの鑿《のみ》のごと著くるところに人をあらはせ
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巨匠ミケランゼロの鑿の当てられるものは岩も木も生命のある人になつたと云ふが、自分の筆もさうでありたい。一度び書かうとすれば遺憾なく万象が詩になるやうにありたいとかう作者は望んである。
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いろいろの波斯《ペルシヤ》のきれを切りはめて丘に掛けたる初夏の畑
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松戸の高等園芸学校の花畑であらう。色彩の多い、そして直線が主になつて出来た模様のペルシヤの更紗の其れをまた種類も幾つも混ぜて、四角に、長方形に岡へ切りはめたやうに畑の見えたのも、時季が多様な花に満ちた初夏だからであつたであらう。
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我が手もて捉ふることの難しとはなほ願《ねがは》くは知らであらまし
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自分の力ではどんなに最善を尽くしても得られぬ望みであると云ふ
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