斉平等に外米を混じた米を食べるだけの忍耐を自覚せしめ、社会に外米を混じない米の存在を許さないことにし、それに由って国家が米穀の標準価格を一定して、特に恩恵的侮辱的の意味を持った「廉米」という名称をも全廃するに至って欲しいと思います。
米価が右のような英断に由って安定を得るならば、その他の物価も同様の方針から出た施設に由って必ず或程度まで緩和することが出来るでしょう。食糧品の公設市場を急速にいくつとなく設けるという事も永久に一つの必要な物価調節策だと思います。これらの施設のためには、従来の投機的資本家や、問屋や、小売商人からの反対運動と戦わねばなりません。私は東京の田尻《たじり》市長が、市営の廉米を、纔《わず》かに一週間にして、市内の白米小売商に依托したような妥協姑息の精神を排斥したいと思います。
私は社会に常在する不幸無力な人たちのため、また今日のような不自然な物価騰貴に由って生活難のどん底にある人たちのために、公私の慈善救済の機関が設けられることを必要とする者ですが、これまでから、慈善行為が婦人の適任であるように決定的にいわれていた世論に対して、私は窃《ひそ》かにそれを軽視し、現
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