ば》と、
圧制と、曲学《きよくがく》と、因襲と、
暴富《ぼうふ》と、人爵《じんしやく》とに打克《うちが》つことが出来る。
それだ、その純粋な一撃だ、
それがおまへの生涯の全部だ。
わたしはおまへの掌《てのひら》が
獅子《しし》の児《こ》のやうに打つた
鋭い一撃の痛さの下《もと》で
かう云《い》ふ白金《はくきん》の予感を覚えて嬉《うれ》しかつた。
そして同時に、おまへと共通の力が
母自身にも潜《ひそ》んでゐるのを感じて、
わたしはおまへの打つた頬《ほ》も
打たない頬《ほ》までも※[#「執/れっか」、127−上−12]《あつ》くなつた。
おまへは何《なに》も意識して居なかつたであらう、
そして直《す》ぐに忘れてしまつたであらう。
けれど、おまへが大人になつて、
思想する時にも、働く時にも、
恋する時にも、戦ふ時にも、
これを取り出してお読み。
二歳《ふたつ》になる可愛《かは》いいアウギユストよ、
おまへのために書いて置く、
おまへが今日《けふ》はじめて
おまへの母の頬《ほ》を打つたことを。
猶《なほ》かはいいアウギユストよ、
おまへは母の胎《たい》に居て
欧羅巴《ヨオロツパ》を観《み》て
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