に》やら晴れがまし。
春の遊びを愛《め》づる君、
知り給《たま》へるや、この花の
分けていみじき一時《ひととき》を。
日は今西に移り行《ゆ》き、
知り給《たま》へるや、木《こ》がくれて、
青味を帯びしひと時を。
日は今西に移り行《ゆ》き、
静かに霞《かす》む春の昼、
花は泣かねど人ぞ泣く。
緋桜《ひざくら》
赤くぼかした八重ざくら、
その蔭《かげ》ゆけば、ほんのりと、
歌舞伎《かぶき》芝居に見るやうな
江戸の明《あか》りが顔にさし、
ひと枝折れば、むすめ気《ぎ》の、
おもはゆながら、絃《いと》につれ、
何《なに》か一《ひと》さし舞ひたけれ。
さてまた小雨《こさめ》ふりつづき、
目を泣き脹《は》らす八重ざくら、
その散りがたの艶《いろ》めけば、
豊國《とよくに》の絵にあるやうな、
繻子《じゆす》の黒味の落ちついた
昔の帯をきゆうと締め、
身もしなやかに眺めばや。
春雨
工場《こうば》の窓で今日《けふ》聞くは
慣れぬ稼《かせ》ぎの涙雨《なみだあめ》、
弥生《やよひ》と云《い》へど、美《うつ》くしい
柳の枝に降りもせず、
煉瓦《れんが》の塀や、煙突や、
ト
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