が恋を人問ひ給《たま》ふ。
わが恋を如何《いか》に答へん、
譬《たと》ふれば小《ちさ》き塔なり、
礎《いしずゑ》に二人《ふたり》の命、
真柱《まばしら》に愛を立てつつ、
層《そう》ごとに学と芸術、
汗と血を塗りて固めぬ。
塔は是《こ》れ無極《むきよく》の塔、
更に積み、更に重ねて、
世の風と雨に当らん。
猶《なほ》卑《ひく》し、今立つ所、
猶《なほ》狭し、今見る所、
天《あま》つ日も多くは射《さ》さず、
寒きこと二月の如《ごと》し。
頼めるは、微《かすか》なれども
唯《た》だ一つ内《うち》なる光。


    己《おの》が路《みち》

わが行《ゆ》く路《みち》は常日頃《つねひごろ》
三人《みたり》四人《よたり》とつれだちぬ、
また時として唯《た》だ一人《ひとり》。

一人《ひとり》行《ゆ》く日も華やかに、
三人《みたり》四人《よたり》と行《ゆ》くときは
更にこころの楽《たのし》めり。

我等は選《え》りぬ、己《おの》が路《みち》、
一《ひと》すぢなれど己《おの》が路《みち》、
けはしけれども己《おの》が路《みち》。


    また人に

病みぬる人は思ふこと
身の病《やまひ》をば先《
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