楓の紅い新芽よ、
そなたのみである、
花と若葉の多いなかに
繊麗深紅の一体を立てて、
そのつつましい心と姿で
四月の太陽を讃めるのは。
西宮市立高等女学校校歌
自《みづか》ら春の園に入り
花を作るも勇みあり。
況《ま》して自ら楽みて
学ぶ我等の気は揚がる。
この楽しみを共にして、
あまた良き師に導かれ、
ここに学べる朗らかさ、
西宮《にしのみや》なる高女生。
北には六甲、東には
生駒山脈そびえたり。
我等ながめて、永久《とこしへ》の
山の力に励まさる。
大坂湾の大《だい》なるに、
紀淡海峡遠白し。
我等ながめて、おのづから、
内の心を濶くする。
日本の少女《をとめ》いそしむは
古き世からの習ひなり。
我等おのおの身を鍛へ、
常に凜凜しき姿あり。
我等の愛は限り無し、
自然、道徳、学の愛、
家庭、交友、国の愛、
国の内外《うちと》の人の愛。
是等の愛を生かすため、
善を行ひ、智を磨き、
女子の我等も、大御代に
永く至誠の民たらん。
我等は思ふ、御代の恩、
更に師の恩、親の恩。
謝せよ、互に学べるは
高き是等のみなさけぞ。
我等は嫌ふ、軽佻を、
無智を、惰弱を、
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