月の雨上りの砂
陽炎《かげろふ》の立ちつゝ。
〔無題〕
心にはなほ
肩あげあり、
前髪、額《ぬか》を掩へど、
人は見ぬにや、
知らぬにや、
心にはなほ
ゆめをおへども……
〔無題〕
五歳《いつつ》になつた末の娘、
もう乳を欲しがらず、
抱かれようとも言はぬ。
辻褄の合はぬお伽噺を
根ほり葉ほり問ふ。
ママの膝なんかに用は無い、
ちやんと一人の席を持つてゐる。
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大正十三年
賀頌
慶《よろこび》ありて、
東の空、
見よ、この日の、
かがやく、
いみじき光を。
めでたきかなや、
日嗣《ひつぎ》の皇子《みこ》、
世の星なる、
麗はし、
良き姫めとらす。
雄雄しくいます、
日嗣の皇子、
げに、人皆、
とこしへ、
たのまん御柱《みはしら》、
ならびて在《いま》す、
天つ少女《をとめ》、
そのみなさけ、
優しく、
みけしき気高し。
長五百秋《ながいほあき》に、
咲きつぐ花、
此の白菊、
いざ、いざ、
挿《かざ》して祝はん。
祝意一章
すべて世のこと人のわざ、
善きが続くは難かるに、
これの冊子《さうし》のめでたさよ
百に重ぬる、更に
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