官となるに従って、あくまでも利己的生活を遂げるために、如何なる非倫不徳の行為を重ねても――それは一般人に対しては小学の修身読本においてすら厳禁されてある事でありながら――彼らの特権として道徳的にも法律的にも制裁されないものであるということの疑惑が保留されるのを、白日《はくじつ》の下に何人も裁決してはくれないのです。これを思うと、しばしば内閣議長となった政界の名士のカイヨウ氏を現に売国的行為の嫌疑によって厳格な審判を加えつつある仏蘭西《フランス》人の倫理的敏感を羨《うらや》まないでいられません。
今一つ日本人の生活の弛緩している例には日本人の直接の指導に当る教育界の無気力無精神を挙げたく思います。この事は教育者自身に早く気の附いている所であって、その証拠には、この三、四年間の各教育雑誌ほど不平不満の文字の満載されたものはないのです。教育者たちの中の進歩主義者は、私たちが想像している以上に我国の教育と教育界とを極端に弊害の多いものとして痛論しているのです。それらの文字だけを読んでいると、これだけ多数の不平家が教育界に集っている以上、教育の改革は今にも教育界の内部から爆発しそうに頼もしく思
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