は永久の真理だったとよくわかる。長く独身でいれば、実現されない幻を描いているかのように人も見るだろうし、それが宿命であるかはしらないが、ついには何の価値もない女といっしょになってしまうような結果を生むことにもなっては、初めよし、後《のち》わろしになってしまう。思い上がっていても若い間はほかから誘惑があるからね、多情な行為におちやすいものだが、堕落をしないように心がけねばならない。宮中に育って、自由らしいことは何一つできずに、ただ過失らしいことが一つあるだけでも世間はやかましく批難するだろうと戦々兢々《せんせんきょうきょう》としていた青年の私でも、やはり恋愛をあさる男のように言われて悪く思われたものなのだ。身分が低くて注目するものがないなどと思って放縦なことをしてはいけないよ。驕慢《きょうまん》の心の盛んな時に、女の問題で賢い人が失敗するようなことは歴史の上にもあることだからね。思ってならない人を思って、女の名も立て自身も人の恨みを負うようなことをしては一生の心の負担になる。不運な結婚をして、女の欠点ばかりが目について苦しいようなことがあっても、そうした時に忍耐をして万人を愛する人道的な
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