源氏物語
朝顔
紫式部
與謝野晶子訳

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)噂《うわさ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)御|叔母《おば》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から3字上げ]
−−

[#地から3字上げ]みづからはあるかなきかのあさがほと
[#地から3字上げ]言ひなす人の忘られぬかな (晶子)

 斎院は父宮の喪のために職をお辞しになった。源氏は例のように古い恋も忘れることのできぬ癖で、始終手紙を送っているのであったが、斎院御在職時代に迷惑をされた噂《うわさ》の相手である人に、女王《にょおう》は打ち解けた返事をお書きになることもなかった。九月になって旧邸の桃園の宮へお移りになったのを聞いて、そこには御|叔母《おば》の女五《にょご》の宮《みや》が同居しておいでになったから、そのお見舞いに託して源氏は訪問して行った。故院がこの御|同胞《はらから》がたを懇切にお扱いになったことによって、今もそうした方々と源氏には親しい交際が残っているのである。同じ御殿の西と東に分かれて、老内親王と若い前斎院とは住ん
次へ
全29ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
与謝野 晶子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング