何故の出兵か
与謝野晶子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)縦《ほしいま》まに
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)一人|福田徳三《ふくだとくぞう》博士は
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地より1字上げ]
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日本人の上に今や一つの大問題が起っております。近頃の新聞を読む人の誰も気が附く通り、それは西伯利亜《シベリヤ》へ日本の大兵を出すか出さないかという問題です。
これに対して我々婦人はどういう意見を持つでしょうか。習慣として、我国の婦人はとかくこういう大問題を眼中に置きません。女は家庭に終始する者として、公の事は男子の意見に任せていました。けれども今は、男女の別なく人として十全に生きるために、一切を知り、一切を享楽する敏感が必要であると共に、一切を正確に認識して、それの価値を批判する理性が必要である時代となりました。人は個人として、国民として、世界の人類として、生存しかつ発展するために、平等に思索し、平等に意見を述べ、平等に行動するの自由を持つようになりました。婦人なるが故にわざとこうい
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