ぞ継母《まヽはヽ》に任せないで、生理的の事情から一生独身で居ると云ふことになつて居るお艶《つや》さんに私の子をすつかり育てヽ貰つて下さいとかう書かうと思つて居たのでした。
七
世の中のことは二三年もすれば信じ切つて居た物の中から意外なことを発見するものであるなどと、私は人間全体の智慧の乏しさにこの事を帰して思ふのではありません。私一人が悪いのだと思つて居ます。ああした身体《からだ》になつた人には女のやうなヒステリイはないのであらうと云ふ誤解をしたり、既に男性的な辛辣な性質も加つて居ると云ふ観察をようしなかつたりして、一生に比べて見れば六箇月は僅かなやうなものヽ、その間を私の子の肉体から霊魂までも疑ひを挿《はさ》まずにお艶《つや》さんに預けて行《ゆ》きました。私は自分の子に済まないことをしたと思つて泣いても泣き足りなく思ひます。私は欧州に居た間の叔母さんと子供等とに就いて然《しか》もそれ程くはしいことは知らないのです。四人程そのことに就いて話してやらうと云つて来た人がありましたが、私は自分の後暗《うしろくら》さから(間接に子供を苛《いぢ》めたのは私とあなたなのですから)そ
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