芥川龍之介

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)貉《むじな》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)勿論|貉《むじな》は

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から1字上げ]

 [#…]:返り点
 (例)化[#レ]人
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 書紀によると、日本では、推古《すいこ》天皇の三十五年春二月、陸奥《みちのく》で始めて、貉《むじな》が人に化けた。尤《もつと》もこれは、一本によると、|化[#レ]人《ヒトニナリテ》でなくて、|比[#レ]人《ヒトニマジリテ》とあるが、両方ともその後に歌之《ウタウ》と書いてあるから、人に化《ば》けたにしろ、人に比《まじ》ったにしろ、人並に唄を歌った事だけは事実らしい。
 それより以前にも、垂仁紀《すいにんき》を見ると、八十七年、丹波《たんば》の国の甕襲《みかそ》と云う人の犬が、貉を噛《か》み食《ころ》したら、腹の中に八尺瓊曲玉《やさかにのまがたま》があったと書いてある。この曲玉は馬琴《ばきん》が、八犬伝《はっけんでん》の中で、八百比丘尼妙椿《やおびくにみょうちん》を出すのに借用した。が、垂仁
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