ない[#「出来ない」に傍点]のである。

   又

 死にたければいつでも死ねるからね。
 ではためしにやって見給え。

   革命

 革命の上に革命を加えよ。然《しか》らば我等は今日よりも合理的に娑婆苦を嘗《な》むることを得べし。

   死

 マインレンデルは頗《すこぶ》る正確に死の魅力を記述している。実際我我は何かの拍子に死の魅力を感じたが最後、容易にその圏外に逃れることは出来ない。のみならず同心円をめぐるようにじりじり死の前へ歩み寄るのである。

   「いろは」短歌

 我我の生活に欠くべからざる思想は或は「いろは」短歌に尽きているかも知れない。

   運命

 遺伝、境遇、偶然、――我我の運命を司るものは畢竟《ひっきょう》この三者である。自ら喜ぶものは喜んでも善い。しかし他を云々するのは僣越《せんえつ》である。

   嘲けるもの

 他を嘲《あざけ》るものは同時に又他に嘲られることを恐れるものである。

   或日本人の言葉

 我にスウィツルを与えよ。然《しか》らずんば言論の自由を与えよ。

   人間的な、余りに人間的な

 人間的な、余りに人間的なものは大抵
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