恋愛と夫婦愛とを混同しては不可ぬ
芥川龍之介
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)不幸を齎《もたら》す
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)あつさり[#「あつさり」に傍点]
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媒酌結婚で結構です
媒酌結婚と自由結婚との得失といふことは、結局、この二種の結婚様式が結婚後の生活の上に、如何なる幸福を導き出し、如何なる不幸を齎《もたら》すかといふことのやうに解せられる。併《しか》し結婚生活の幸福とは果して如何なることを意味するであらうか、それも考へなければならぬ。太く短く楽しむのか、細く長く楽しむのか、それとも又た夫婦間に衝突のある生活なのか、俄《には》かに決定することの出来ない問題である。又た恋愛といふもの、昔の人達の考へたやうな清浄高潔な恋愛といふものが、世の中にあるだらうか否かといふことについても、私は疑ひを懐いてゐるものである。
実際に於て、さういふ生活があり得るか否かは別問題として、一般の人たちが考へるやうに、太く長く且《か》つ平和に楽しめる夫婦生活といふものを、理想とし幸福として考へるならば、聡明な男女には自由結
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