りふだ》たるに過ぎない。それらの名称によって概括される程、自分の作品の特色が鮮明で単純だとは、到底自信する勇気がないからである。
最後に自分は、常に自分を刺戟《しげき》し鼓舞してくれる「新思潮」の同人に対して、改めて感謝の意を表したいと思う。この集の如きも、或《あるい》は諸君の名によって――同人の一人の著作として覚束《おぼつか》ない存在を未来に保つような事があるかも知れない。そうなれば、勿論《もちろん》自分は満足である。が、そうならなくとも亦《また》必ずしも満足でない事はない。敢《あえ》て同人に語を寄せる所以《ゆえん》である。
大正六年五月
[#地から1字上げ]芥川龍之介
底本:「日本の文学 33 羅生門」ほるぷ出版
1984(昭和59)年8月1日初版第1刷発行
1986(昭和61)年12月1日初版第3刷発行
底本の親本:「羅生門」阿蘭陀書房
1917(大正6)年5月発行
入力:j.utiyama
校正:earthian
1998年12月28日公開
2004年3月17日修正
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