毛利先生
芥川龍之介
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)歳晩《さいばん》のある暮方
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)急性|肺炎《はいえん》で
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「勹<夕」、第3水準1−14−76]
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歳晩《さいばん》のある暮方、自分は友人の批評家と二人で、所謂《いわゆる》腰弁街道《こしべんかいどう》の、裸になった並樹の柳の下を、神田橋《かんだばし》の方へ歩いていた。自分たちの左右には、昔、島崎藤村《しまざきとうそん》が「もっと頭《かしら》をあげて歩け」と慷慨《こうがい》した、下級官吏らしい人々が、まだ漂《ただよ》っている黄昏《たそがれ》の光の中に、蹌踉《そうろう》たる歩みを運んで行く。期せずして、同じく憂鬱な心もちを、払いのけようとしても払いのけられなかったからであろう。自分たちは外套《がいとう》の肩をすり合せるようにして、心もち足を早めながら、大手町《おおてまち》の停留場《ていりゅうば》を通りこすまで
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