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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)京浜電車《けいひんでんしゃ》の中で
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)午後|京浜電車《けいひんでんしゃ》の中で
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から1字上げ](大正六年九月十七日)
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(一しょに大学を出た親しい友だちの一人に、ある夏の午後|京浜電車《けいひんでんしゃ》の中で遇《あ》ったら、こんな話を聞かせられた。)
この間、社の用でYへ行った時の話だ。向うで宴会を開いて、僕を招待《しょうだい》してくれた事がある。何しろYの事だから、床の間には石版摺《せきばんず》りの乃木《のぎ》大将の掛物がかかっていて、その前に造花《ぞうか》の牡丹《ぼたん》が生けてあると云う体裁だがね。夕方から雨がふったのと、人数《にんず》も割に少かったのとで、思ったよりや感じがよかった。その上二階にも一組宴会があるらしかったが、これも幸いと土地がらに似ず騒がない。所が君、お酌人《しゃくにん》の中に――
君も知っているだろう。僕らが昔よく飲みに行ったUの女中に、お徳《とく》って女がいた。鼻の低い
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