文章
芥川龍之介
--
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)弔辞《ちょうじ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)きのうの朝|歿《な》くなられたです
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「勹<夕」、第3水準1-14-76]
--
「堀川さん。弔辞《ちょうじ》を一つ作ってくれませんか? 土曜日に本多少佐の葬式がある、――その時に校長の読まれるのですが、……」
藤田大佐は食堂を出しなにこう保吉《やすきち》へ話しかけた。堀川保吉はこの学校の生徒に英吉利《イギリス》語の訳読を教えている。が、授業の合《あ》い間《ま》には弔辞を作ったり、教科書を編《あ》んだり、御前《ごぜん》講演の添削《てんさく》をしたり、外国の新聞記事を翻訳《ほんやく》したり、――そう云うことも時々はやらなければならぬ。そう云うことをまた云いつけるのはいつもこの藤田大佐である。大佐はやっと四十くらいであろう。色の浅黒い、肉の落ちた、神経質らしい顔をしている。保吉は大佐よりも一足《
次へ
全18ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
芥川 竜之介 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング