風変りな作品に就いて
芥川龍之介
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)貴君《あなた》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)日本|耶蘇《やそ》会
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から1字上げ](大正十四年十二月)
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「貴君《あなた》の作品の中《うち》で、愛着を持つてゐらつしやるものか、好きなものはありませんか」と云はれると、一寸《ちよつと》困る。さういふ条件の小説を特別に選《よ》り出す事は出来ないし、又特別に取扱はなくてはならない小説があるとも思へない。第一、自分の小説といふものを考へた時に、その沢山《たくさん》な小説の行列《ぎやうれつ》の中から、特に、私《わたし》が小説で御座《ござ》ると名乗つて飛び出して来るものも見当らない。かう云ひ切つて了《しま》ふと、折角《せつかく》の御尋ねに対する御返事にはならないから、さう大袈裟《おほげさ》な問題として取扱はないで、僕の書いた小説の中《うち》で、一寸《ちよつと》風変りなものを二つ抜き出して見ることにする。
自分の小説は大部分、現代普通に用ひられてゐる言葉で書
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