芭蕉雑記
芥川龍之介
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)七部集《しちぶしふ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)其|風体《ふうたい》の句々をえらび
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「魚+檀のつくり」、第3水準1−94−53]
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一 著書
芭蕉は一巻の書も著はしたことはない。所謂芭蕉の七部集《しちぶしふ》なるものも悉《ことごとく》門人の著はしたものである。これは芭蕉自身の言葉によれば、名聞《みやうもん》を好まぬ為だつたらしい。
「曲翠《きよくすゐ》問《とふ》、発句《ほつく》を取りあつめ、集作ると云へる、此道の執心《しふしん》なるべきや。翁《をう》曰《いはく》、これ卑しき心より我《わが》上手《じやうず》なるを知られんと我を忘れたる名聞より出《いづ》る事也。」
かう云つたのも一応は尤もである。しかしその次を読んで見れば、おのづから微笑を禁じ得ない。
「集とは其|風体《ふうたい》の句々をえらび、我風体と云ふことを
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