しやう》(史游)の註にも、「衛有石※[#「石+昔」、186−上−10]鄭有石癸斉有石之紛如其後亦以命族石敢当」とあり。その何れを正しとすべき乎《か》、何人も疑ひなき能はざるべし。徐氏筆精に云ふ「二説大不相※[#「にんべん+牟」、第3水準1−14−22]亦日用不察者也」と。然らばその起源を知らざるもの、豈《あに》佐藤惣之助君のみならんや。桂川中良も亦知らざるなり。今東光も亦知らざるなり。知らざるを以て知らざるを嗤《わら》ふ、山客亦何ぞ嗤はざるを得んや。按《あん》ずるに鍾馗《しようき》大臣の如き、明皇《めいくわう》夢中に見る所と做《な》すは素《もと》より稗官《ひくわん》の妄誕《まうたん》のみ。石敢当も亦実在の人物ならず、無何有郷裡《むかいうきやうり》の英雄なるべし。もし又更に大方《おほかた》の士人、石敢当の出処を知らんと欲せば、秋風|禾黍《くわしよ》を動かすの辺、孤影蕭然たる案山子《かかし》に問へ。
猥談
聞説す、我鬼《がき》先生、佐佐木味津三君の文を称し、猥談《わいだん》と題するを勧《すす》めたりと。何ぞその無礼なるや。佐佐木君は温厚の君子、幸ひに先生の言を容《い》れ、君
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