田端日記
芥川龍之介
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)一向《いっこう》ものを
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)朝|床《とこ》の中で
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「足へん+卓」、第4水準2−89−35]※[#「厂+萬」、第3水準1−14−84]風発《たくれいふうはつ》
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〔八月〕二十七日
朝|床《とこ》の中でぐずついていたら、六時になった。何か夢を見たと思って考え出そうとしたが思いつかない。
起きて顔を洗って、にぎり飯を食って、書斎の机に向ったが、一向《いっこう》ものを書く気にもならない。そこで読みかけの本をよんだ。何だかへんな議論が綿々《めんめん》と書いてある。面倒臭くなったから、それもやめにして腹んばいになって、小説を読んだ。土左衛門《どざえもん》になりかかった男の心もちを、多少空想的に誇張して、面白く書いてある。こいつは話せると思ったら、こないだから頭に持っている小説が、急に早く書きたくなった。
バルザ
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