田端人
芥川龍之介
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)田端《たばた》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)又|空谷山人《くうこくさんじん》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から1字上げ](大正十四年二月)
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この度は田端《たばた》の人々を書かん。こは必ずしも交友ならず。寧《むし》ろ僕の師友なりと言ふべし。
下島勲《しもじまいさを》 下島先生はお医者なり。僕の一家は常に先生の御厄介《ごやくかい》になる。又|空谷山人《くうこくさんじん》と号し、乞食《こつじき》俳人|井月《せいげつ》の句を集めたる井月句集の編者なり。僕とは親子ほど違ふ年なれども、老来トルストイでも何《なん》でも読み、論戦に勇なるは敬服すべし。僕の書画を愛する心は先生に負ふ所少からず。なほ次手《ついで》に吹聴《ふいちやう》すれば、先生は時々夢の中に化《ば》けものなどに追ひかけられても、逃げたことは一度もなきよし。先生の胆《たん》、恐らくは駝鳥《だてう》の卵よりも大ならん乎《か》。
香取秀真《かとりほづま》 香取先生は通称「お隣の先生」
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